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人、モノ、金と、それらの情報

人、モノ、金と、それらの情報は個人にも当てはめ可能

人、モノ、金と、それらの情報は、経営のための資源であり、マネージャーはこれらを意識して担当している事業について、目的を達成する必要があるわけですが、これ、個人の仕事にも結構当てはめることが出来ると思っております

仕事の切り分け、また、切り分けられたタスクの優先順位の決定の何れにも、欠かせないのは、手持ちの資源の情報でしょう 即ち人、モノ、金の情報と言うことだと思います

個人の資源とその情報とは

まず、人ですが、これは、自分とそれ以外で一緒に仕事をする人、または、競合先などの、言ってみるならステークホルダーのことですよね

モノは、一般に仕事は、付加価値の創造ですから、物理的に存在するかどうかは別として、あるモノに付加価値を付けて、次の行程に、または、サービスならそれを提供することになるわけですが

この、付加価値を付ける対象であるモノは、半製品であるとしても、やはり、製品、つまり、商品が一番重要になります

それ以外のモノとして意識していると、特に、切り分けに有効なのが、経営資源として与えられている、仕事のためのモノ 例えば、工場なら機械加工で付加価値が生まれるなら生産施設がモノになりますから、どうやって加工されるのかをよく知っておかないと、そもそも切り分けが出来ませんよね

自分の時間こそ、コストである

お金については、予算を与えられてその管理をするので無い限り、自分の時間と外注先で発生する時間が、コストと言っても良いかと思います 結局、自分の時間を多く費やすと、見えないけれどコストがかかっていることになりますから、かけられる時間を短くすると、質が落ちない限りはコストが少ないと言い換えられます

これらの仕事のために使われる、または費やされる資源について、それらの情報を的確に把握することが、結果として得られるアウトプットの質を保ち、締め切りを守り、適切な付加価値を生んでこれを付加することになるはずです

そのため、タイム・マネジメントのために、先ずは、仕事を切り分けて作業として、全てを把握するために、一番必要であり、有効なのは、人、モノ、金=時間についての現状に関わる確定情報を持っているかどうかが、目的を達成する上で、大きな分岐点になると考えます

自らのスキルに関わる情報こそ大切

また、人の情報の一つに、自分の仕事を実行するにあたって、自分が持っているスキルも大切な情報だと言えると思うのです 自らを知らずに、事に当たっても、何事も上手くいかないのは当たり前のこと もっと言うなら、自らの技量を正確に知った上で、これを向上することで、コストが下がるとも言えます

技量というと製造現場に特定されるようなイメージを持たれるかも知れません でも、付加価値が生じているところには、必ず「技能」が存在するはずです ホワイトカラーの労働でも、目には見えませんが付加価値は発生しているはずです そして、そのためのコストはそれにかかる労働の時間と、賃金の平均で計算が可能となります

このように、一人で仕事をするときでも、資源に関する情報は必要となるのですが、この点は余り語られていないように思います 結局、長時間をかけてアウトプットに付加価値を持たせるのと、短時間でアウトプットが可能になるのと、何が決定的に違うのかと言えば、実際に一番失われているのは、その時間を他のことにあてて得られるアウトプットになります

機会費用と呼ばれますが、あることに時間をかけて得られるアウトプットと、その時間を他のことにかけて得られるアウトプットに差が生じる場合、もし、後者の価値が大きいとすれば、遺失利益が発生していると言うことになるからです

個人のスキルアップのための時間が必要

個人としても、ワーク・ライフ・バランスの視点から見れば、同じアウトプットをより短い時間内に仕上げてしまえば、他のことに使える時間が増えます その時間をリラックスに使えれば、その日のうちに疲れを癒やし、明日の活力を得ることが出来るでしょう

先にも申し上げましたが、ワーク・ライフ・バランスの向上は、働く時間を減らして、それ以外の時間を獲得する、というのではなく、働くときの労働の質を向上し、結果として、仕事とそれ以外の人生の時間が、よりよい均衡を保てるように、集中力の深さとその持続、反復を最適化することです

長時間労働による疲労の蓄積を避けて、高い効率を持続するために、ギリギリの状態では無く、余裕を持って仕事に臨めることが望ましいのは、言うまでも無いことでしょう つまり、ライフスタイルを変えるのであれば、働き方を変えなければ、とてもじゃありませんが、それは難しいとも言えます

働き方を最適なモノにするためには、質を守り、期限を守りながら、より短い時間で仕事を終えられるために、技能を含める技量の向上がどうしても求められることになります そのためには、時間が必要となるのは自明です

自らの技量向上のために工夫して時間を捻出し、以前よりもかかる時間、即ちコストを減らして、そのコストを自らのために使えるように振り替える この繰り返しが、ワーク・ライフ・バランスの向上の継続に繋がるのだろうと考えるのです

優先順位をつける

やるべき事、つまりは、最小単位の作業を「全て」書き出すまでに進むと、次は、どれからやるのか?つまり、優先順位を付けるという、誠にややこしい手順を踏むことを迫られます

仕事効率化、などについて語る場合には、まず、必ずと言って良いほど登場しますよね でも、どうやるのかについては、あまり見かけないのでは無いでしょうか 少なくとも私は、見かけたことはありません

優先順位と言うからには、順番のことなのですが、問題なのは前半の「優先」の意味ですよね 正直、二つならどちらを優先するかを決めるのは、そう難しいことではありません もっとも、究極の選択ってのがあるので、そういう時は、悩まされますけど、そんなことは滅多に有りませんから

で、この優先順位の「優先」なのですけど、私個人としては、「相手に寄る」のを最初の原則とします 例えば、お客様相手の場合は、社内でのことに優先する、って感じです ところが、たまに社内の方が大切な時もあり得ますよね、査定に関わるとか

例外が発生するってことは、原則には出来ないってことでしょう 仕方が無いので取り入れたのは、締切までの日数です 先に申し上げた「やるべき事は、大きな仕事から切り出されたもので、その仕事には締切がある そして、その締切を守るためには、個々のやるべき事にも締切が発生する」これに従うなら、それぞれの作業の締め切り日を決めることになります

繰り返しになりますが、このとき、二つ以上の作業が、一つの作業が終わらないと着手できない場合、それがボトルネックになる可能性が高い そのため、ボトルネックに成り得るものを「予め確定する」必要があります

いずれにしても、全ての作業の進捗を見ながら、それぞれの作業のうち、どれに着手するのか、その順番が「優先順位」だと言って、問題ないと思います 個々の作業の着手の順番を決めるときには、締切までの日数が少ない順にすれば、例外は発生しなくなるはずです

優先順位を「重要性」などの、定性的な基準に従おうとすると、非常に面倒になってしまいがちですが、日数という定量的なものに置き換えれば単純に数が少ない方から着手する、ということになります

但し、学生さんにしろ、勤めている方、または、自営業の方であろうと、皆さん、一つの仕事だけ、っていう幸運な方は、希でしょう 学生さんなら、それこそ何時も複数の課題をやらねばならないので、それぞれの締切、恐らくは提出期限を気にせねばなりません お勤めの方は、一つだけの仕事に専念できるとしたら、それならタイム・マネジメントは必要ない、ひたすらかたづけて行けば良いわけですが、そういう方は希じゃないでしょうか

仕事と呼んでおりますが、別に仕事って賃金を貰ってやることに限られるわけじゃありません 家事もボランティアも、何だったら趣味のためのことも、全部「やるべき事」が一塊になっていると考えれば、何時も、誰でも、複数のことを同時進行でやっているわけですから

この同時進行ってのが、優先順位を付けることを、不必要にややこしくしてしまいがちだと思うのです そのため、やるべき事は、元の仕事がどんなものであっても、それを仕上げるまでに残っている日数で着手の順番を決めることに統一すると、非常にシンプルで楽になります

ところが、このとき、切り分けが上手くいっていないと、このやり方は通用しなくなってしまいます 特に妨げになるのは、一つの「やるべき事」がその日のうちに終わらない場合です 簡単に言うと、その「やるべき事」が最小単位にまで切り分けられていないため、一つのことに数時間を要するほどの、まだ、大きいままだと、一日のうちに作業に許される時間では終わらないことが考えられるということですね

9時から5時まで働くとして、一人の作業時間として確保できる時間は人によって違うのは当然ながら、忙しい人に許される時間は、豊富とは言えないためにタイム・マネジメントが必要となるわけですから

理想としては、会議や応対などの予め決まっている「予定と予定の合間の時間」に、一つの作業が終わる事だと思います そうなると、一つの作業にかけられる時間は、せいぜい1時間程度、長くて1時間半位が現実的でしょう 忙しい人の場合、この時間を確保するのが難しくなるので、どうしても残業による長時間労働が当たり前になってしまいがち

ワーク・ライフ・バランスの観点からも、仕事は効率よく終わらせて、明日のために、食事、入浴以外にリフレッシュできるだけの休養と睡眠を確保するが出来ないと、結局、仕事の効率が上がらないため「労働の再生産にかけられる時間」が不足して、残業時間が長くなってしまう悪循環から抜けられなくなってしまうのではないでしょうか

締切までの残りの日数が迫っていても、一つ一つ確実に終わらせるには、集中力継続の平均時間である90分以内に終わらせることが出来るよう、切り分けに工夫が必要と言うことになります

あと、エクセルでグラフを作る例の時に挙げた、数値を入手する時などに、人に依頼してその結果を待つ必要がある場合は、ゆとりを持たせておかないと、ボトルネックになってしまうことも、ここで敢えて書いておきます 全てが自分のコントロールでなんとでもなると言う人は、幸運な方ですが、私の知る限りでは、仕事は人と一緒にするものですから

まとめておくと

仕事を切り出して、やるべき事を決める時には、その作業は「予定と予定の合間」に確保できる90分を最長として、切り出しには工夫をする その上で、締切を設定して締切までの残りの日数が少ないものから着手する ただし、他の人に依頼して結果を待つ場合は、それにかかる時間は十分なゆとりを持たせておかないと、次の着手の妨げとなってしまうことになりかねないので、注意が必要です

仕事を切り分ける

仕事を切り分ける=やるべき事を、全て短い文章に書き出して、後はそれをやるだけにする

言うのは簡単です でも、実際にやるとなると、これには結構なコツが求められます タイム・マネジメントが上手い人の真似をする時、やり方自体に目が行ってしまいがちですが、どんなことをきちんと押さえているのかを見つけることの方が有効です

このとき、とても大切なのは、仕事を塊として捉えて、それを実際の作業の対象にまで「切り分ける」ことです

仕事、と一概に呼んでおりますが、実際には、実務としての仕事は、細かい作業の連結となります これは、仕事は連結される作業からなる構造を持つことを知って、実際に切り分けを実行している人の方が、タイム・マネジメントが上手とも言い換えられます

この視点から眺めると、仕事は、最小単位の作業に切り分けられ、個々の作業を実行することになりますよね 最小単位というのは、始めたら終わりまで一気にやってしまう単位という意味です

例えば、「エクセルでグラフを作る」を例に挙げます もちろんん、これは最小単位の作業ではありません 実際にエクセルでグラフを作ったことのある方なら、

「エクセルのグラフ作成には、表を作る必要があるし、その表の数値を入力する必要もあるし、そもそも、その数値をどこかから貰うか、探す必要もある」

と仰るはずです

つまり、実務に於いては、

数値を入手する

それを表形式に入力する

表からグラフを作成する

上記の各作業が最小単位と言うことになります

これを、「エクセルでグラフを作成」のままに放っておくと、実務作業として「やらねばならないこと」を、単文にまとめることなく実行してしまう、つまり、切り分けが十分でないため、やらねばならないことが明確にされないまま着手されることになります

タイム・マネジメントが上手な人は、この切り分けを実行する時に、時間軸を意識しているのが特徴と言えます 「連結している」ということは、前工程と後工程が存在する つまり、前工程が終わらないと、着手できない作業が有るって事でしょう

締切に間に合わせるためには、個々の最小単位の作業、特に、後工程を持っている作業のうち、複数の後工程を持つものは、ボトルネックになる可能性を持つため、特に注意が必要となります

ここまでをまとめると、

仕事を実行するには、最小単位の作業への切り分けがキーポイント そして、個々の作業は前工程を持つものがあるため、締切を守るためには、それぞれの作業にも締切が発生する 特にボトルネックになりがちが作業の締切は大切

これを意識して、切り分けを適正な単位まで行って、全ての作業を単文で表現する その単文を全て並べると、元の仕事が正確にイメージできるようであれば、取りこぼしは無いと言うことになります

ところでこれ、ややこしくありませんか?

実際、やってみると、迷子になったような気になって、不安になることがよく起こります そのため、このような切り分けを実行するには、ツールの使用がお勧めです

具体的には、マインド・マップツリー構造での切り分けがとても有効です 但し、どちらもそれぞれ利点や短所が有るので、どちらが良いとは言い切れません 実際にやってみて、相性が良い方をまず馴染むまでやってみるのが一番の早道です 時間はかかりますけど、結局は急がば回れ、ってことですね

このとき、アプリを使いたくなる気持はよく判りますが、少なくとも自分のものに出来るまでは、紙とペンでの手書き、手描きを強くお勧めします こういう「頭の中のことを、外に出す作業」では、手書き&手描きに勝るものはありませんから 自分のものに出来たら、デジタルに移行するってのは、もちろんアリ、ですけど 最初は、我慢することになりますけど、手を使うことをお勧めします

WSJ あなどれない「手書き」の学習効果

何をするのかを、全部書き出す

まずは、これから何をするかを決めて紙に並べて書き記します そして、一つが終わったら、そのたびに横線で消す、わけですが

そもそも、その前に、何をするか、つまり、その時点でのToDoを全て書き出す必要があります 全部というのは、言い換えれば、取りこぼしがないと言う意味です やらねばならないことが、全て書き出されることで得られる安心感は、かなりのモノがあります

この時、やらねばならないことと、実際は、やらなくても良いのだけど、「一応」書き出すこととは、ハッキリと区別する必要があります 書いておきたくなるのは良く判りますが、その場合は、他の紙にメモとして書いておき、あとから検討するのがお勧めです

実際、やらねばならないことを、考えられる限り書き出して、あとから、「一応」の案件を観ると、殆どの場合は、やるべき事に含めないと言って良いと思います これを繰り返す毎に、やるべき事とそうではないことを、「仕分ける」判断力が向上するので、「一応」という考え方が少しずつ後退してゆくのが不思議です

それよりも、やるべき、と思うことを見返すと、なら、こんなこともやらなければと派生的な事が思い浮かび、それを更に書き込んで、納得がいくまで書き記した後には、

これだけのことをやれば良い、という安心感と満足感を得ることが出来ます 何をやれば良いのだろうという、悩みが無くなるからです

頭の中で、あれこれと考えていた抽象的だった事象が、全て文字で書かれた具体的な案件となるのですから、後は、やるだけ、という「やる気になる」のも当然のことでしょう

ポイントは、派生する案件も含めて、考えられる限りの全てを書き出し、それを見返して、やる気に繋がる、安心感と満足感が得られるまでは、これを途中で妥協すること無く、やりきることです

しかし、言うのは簡単ですが、実際にやってみると意外と難しいのが、この作業です 実際に、どのようにやると上手くいくのか、具体例を挙げてご説明することとしましょう

Kyo ToDo開発の背景

worklifebalancequestion最近、よく見聞きするのに、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉があります 何となく判るような気はするのですが、一体、何を言いたいのか、余り気にせずそのままにしてきたというのが正直なところです

ところが、自分でアプリの開発を始めたら

 

「いつも、いつも、仕事している」のに、気がつきました

寝ても覚めてもとは、このことかと思うほどで、目が覚めると、もう、頭の中で仕事を始めてます 朝食を摂ったら、直ぐにPCの前、どころか、脇に置いてあるノートPCで仕事を始める始末

しばらくは、何ともなかったのですが、気がついたら猛烈な疲労を覚え、キーボードが打てないほど、両腕はこってしまって、肩も腰もと、体中に疲労が蓄積されているのに気がつかずに、ひたすら働いてしまったのです そのままでは仕事をすることは難しいために、回復に時間を要するというなんとも皮肉な事態を経験することとなりました

こうして、自分自身のワーク・ライフ・バランスを向上する必要に迫られ、実際に、その向上を実現するのに有効な手段を試すこととなりました

その一つが、働く時間とそれ以外の時間を区別するように、働く時間帯を作業毎に区切って、一つが終わったら、例えば、ウォーキングに出かけるなどを実行することでした

夕方も、何時まででも仕事をしてしまっていたのを、決まった時間には作業を終了すると予め決めて、最後の作業の完了目標時間を決めて、取りかかります そしてそれが終わったら、横線で消す習慣を付けてゆきました

この「横線で消す」は、精神衛生上、非常に助かりました 一つのことが終わった、「完了」を実感できることが可能となったからです 際限なく、次々と仕事をこなしても、なかなか充実感や達成感を味わうことはできません

ただ単に、やることを書き出して、終わったら横線で消す、これだけの違いです しかしながら、その効果は、これでお終いと思っていた作業が終わったから、今日の仕事はここまでと言った具合に、それ以前とは違う「働き方」をするようになりました

午前中、熱中しすぎてズルズルと昼食をとらない日々が続いていたのが、きちんと休むようになったため、続けて作業するよりも、自覚できるほどに効率が上がるようになます

そして、それが嬉しいので、適切に休みを取りながら、一回の作業での集中力を継続することで、より短い時間で、同じだけの作業結果を得られるようになったのは、なんとも言えない充実感を得られました

ワーク・ライフ・バランスというと、仕事で忙しくしているのを、何とか仕事以外の時間に振り向けて、人生を充実させると言う風に聞こえます しかしながら、経験から言うと、リラックスや余暇の時間の過ごし方こそが、仕事の充実度を上げる鍵となり、仕事も余暇も全てを充実することがワーク・ライフ・バランスなのだと実感しております

つまりは、働く時間を減らすことを目的とするより、それ以外の時間の過ごし方によって、仕事の時の集中力とその継続、反復を向上させることで、結果として、同じだけの仕事の量を、よりよい質で、より短い時間内に達成できることこそ、結果として、良い均衡点でバランスするのが望ましいとの結論に達したのです

ここからは、具体的に、どうすればよいのか、また、何が好ましくないのかをお話ししてゆきたいと思います